肛門内科について
肛門は消化管の出口にあたる部位で、その奥には直腸が続いており、両者の境界は「歯状線」と呼ばれています。この歯状線には「肛門陰窩」と呼ばれるくぼみがあり、その奥には「肛門腺」が存在します。
肛門は、排出される内容物が便かガスかを識別し、ガスの場合にはおならとして放出し、便であればその形状や硬さに応じて締めつけ具合を調整するなど、極めて繊細かつ高度な機能を担っています。また、肛門周囲には網目状に広がる毛細血管が分布しており、クッションとしての役割を果たしています。
肛門内科では、いぼ痔(痔核)・切れ痔(裂肛)・痔ろう(あな痔)などの痔疾患をはじめ、肛門から直腸にかけて生じる様々な疾患の診療と治療を行っています。
これらの疾患は、排便機能や肛門の締まりに支障をきたすことで、日常生活に大きな影響を与える恐れがあります。
肛門に関する症状は、羞恥心や不安から受診が遅れるケースが少なくありません。
しかし、身体への負担を抑えつつ再発を防ぐには、早期の診断と適切な治療が重要です。違和感や気になる症状がある場合は、できるだけ早めに肛門内科を受診しましょう。
肛門内科で扱う主な疾患
- 切れ痔(裂肛)
- いぼ痔(内痔核・外痔核)
- 血栓性外痔核
- 肛門周囲膿瘍
- 痔ろう(あな痔)
- 肛門掻痒症
- 肛門尖圭コンジローマ
- 直腸脱
- 直腸瘤
- 毛巣洞
- 膿皮症
- 単純性ヘルペス
- クローン病に伴う肛門周囲病変
- 乳児痔ろう
肛門内科の診察の流れ
1受診
当院では、一般内科や消化器内科など複数の診療科を併設しており、周囲に肛門内科を受診していることが知られるリスクはありません。患者様のプライバシーに配慮した環境を整えておりますので、安心してご来院頂けます。
2受付
受付では診療科や症状に関する質問を口頭で行うことはありません。プライバシーが守られた形でスムーズに受付を済ませて頂けます。
3問診
診察室は防音設計となっており、待合室などに会話が聞こえることはありません。受付時にご記入頂いた問診票をもとに、医師が症状やお悩みについて丁寧にお伺いします。
4診察準備
診察時は、ベッドに横向きで壁の方を向いた「Abelの体位」を取って頂きます。軽く肘を曲げるこの姿勢は、リラックスしやすく恥ずかしさも軽減されます。下着は太ももの中ほどまで下げ、その上に大きめのタオルを掛けます。医師が必要な部分のみタオルをめくって診察を行います。
5診察
まずは視診により肛門の外側の状態を確認します。続いて、ゴム手袋をはめて医療用ゼリーを塗布した指で触診を行い、しこりの有無や状態を確認します。さらに必要に応じて、細長い筒状の肛門鏡を使用して内部を観察します。肛門鏡の挿入時にもゼリーを使用するため、個人差はありますが痛みはほとんどありません。無理に検査を進めることはありませんので、安心して診察をお受けください。
6診断
診察や検査の結果をもとに、医師が現在の状態や治療方針について詳しくご説明いたします。必要に応じて、内視鏡検査を追加する場合もあります。

