便潜血陽性について
便潜血検査は、健康診断などで行われる簡便なスクリーニング検査で、肉眼では確認できない便の中の微量な出血を見つけるためのものです。この検査で「陽性」と判定された場合、消化管内のどこかで出血が起きている可能性を示しています。
通常、健康な消化管では出血は起こらないため、何らかの障害が生じているサインと考えるべきです。
最も多い原因は痔による出血ですが、それだけではありません。
大腸にできたポリープやがんが硬い便と擦れて出血し、便に血液が混ざることもあります。
特に大腸がんは、組織が脆いため出血しやすく、直腸など出口に近い部位での病変では、早期から出血が見られることがあります。このように、便潜血検査は大腸がんの早期発見に非常に有効です。
とはいえ、「痔があるから仕方ない」と考え、再検査を受けずに済ませてしまう方も少なくありません。
たとえ痔があったとしても、それ以外に出血源が存在する可能性は否定できません。便潜血陽性の結果を受けた際には、たとえ症状がなくても、自身の健康状態を確認するために精密検査を受けることが大切です。
便潜血陽性は大腸ポリープや大腸がんのサインかもしれません
便潜血陽性とは、特に大腸からの出血が疑われる状態です。その原因としては、大腸ポリープや大腸がんが挙げられます。
これらは便の通過時にわずかな出血を起こし、それが便に混じることで検出されます。
なかでも大腸がんは、初期段階であれば内視鏡治療のみで完治が可能ですが、初期には自覚症状がほとんどありません。進行してからでは治療が複雑になり、入院や外科的手術が必要になる場合もあります。
便潜血陽性という結果は、大腸の病変を早期に見つける大きなチャンスでもあるため、速やかに精密検査を受けましょう。
便潜血陰性でも油断は禁物です
一方で、便潜血検査が陰性であったからといって、大腸がんやポリープがまったく存在しないとは限りません。例えば、大腸の奥（小腸寄り）に病変があると、便がまだ柔らかいため擦れによる出血が起きにくく、検出されないことがあります。また、直腸やS状結腸にポリープがあった場合でも、必ずしも出血するとは限りません。
そのため、検査結果が陰性であっても、「安心して終わり」ではなく、便通異常や腹痛など気になる症状がある場合には、引き続き消化器内科での診察を受けることをお勧めします。
便潜血検査で陽性反応が出た方は大腸カメラ検査を受けましょう
便潜血陽性の方は、陰性の方に比べて大腸がんのリスクが高いことが明らかになっています。「痔の出血だから」と自己判断してしまうのは危険です。
出血の原因を明確にするためには、大腸カメラ検査を受ける必要があります。
大腸カメラ検査では、直接大腸粘膜を観察でき、がんやポリープを正確に見つけ出すことができます。特に、早期の大腸がんであれば、その場で内視鏡による切除が可能であり、身体への負担も最小限に抑えられます。
便潜血陽性という結果は軽視せず、大腸カメラ検査をぜひご検討ください。