- 大腸ポリープについて
- 大腸ポリープや大腸がんの原因とリスクについて
- 大腸ポリープや大腸がんの主な症状
- 大腸ポリープや大腸がんの検査・診断方法
- 大腸カメラは診断と治療を同時に実現できる唯一の検査
- 大腸がんの早期発見と早期治療の重要性
大腸ポリープについて
大腸ポリープとは、大腸の粘膜が盛り上がったり、くぼんだりして形成される腫瘍性の病変です。その多くは大腸腺腫と呼ばれる良性のポリープであり、大腸カメラ検査の際に内視鏡による切除がその場で可能です。
この大腸腺腫は、時間とともに大きく成長したり、形が不整になったりすることで、がんへと進行する可能性があります。実際、進行大腸がんの多くはこの腺腫から発生したものと考えられています。
ただし、がん化した場合でも、早期の段階(早期大腸がん)で発見できれば、内視鏡による切除で治療が可能です。なお、切除可能かどうかは、がんの大きさや深さ、形状などにより判断されます。
大腸ポリープや大腸がんの原因とリスクについて
大腸ポリープができる明確な原因は解明されていませんが、一般的に40歳を過ぎると発生しやすくなる傾向があります。同様に大腸がんについても、その発症メカニズムは1つに特定されておらず、食生活の欧米化をはじめとした環境的な要素や遺伝的な影響など、複数の因子が複雑に関与していると考えられています。
特に、大腸がんの多くは、元々存在していた大腸ポリープが時間をかけてがん化することによって発症するとされています。
特殊なケースとして、「家族性大腸腺腫症」と呼ばれる遺伝性疾患があります。
これは、10代の若年期から大腸にポリープが形成され始め、年齢とともに増加し、最終的には大腸全体に100個以上のポリープが発生するという病気です。
この疾患はおよそ50%の確率で遺伝するとされており、当院では家族性大腸腺腫症が疑われる場合には、専門の医療機関をご紹介しています。
また、以下のような条件に該当する方は、大腸がんのリスクが高いとされています。
- 40歳以上であること
- 大腸ポリープの既往歴がある
- 大腸がんの家族歴がある
- 糖尿病を患っている
- 喫煙習慣がある
- 肥満傾向がある、あるいは日常的に運動不足である
なかでも特に重要なのは、「40歳を過ぎると大腸ポリープや大腸がんのリスクが高まる」という点です。
そのため、40歳以上の方、特に上記のリスク因子に該当する方は、大腸がんの早期発見と早期治療を目的として、定期的な大腸カメラ検査の受診を推奨しています。
大腸ポリープや大腸がんの主な症状
大腸ポリープや初期の大腸がんは、ほとんどの場合で自覚症状が現れません。特にS状結腸や直腸など、肛門に近い部位にポリープができた際には、血便をきっかけに検査で見つかるケースが見受けられます。しかし実際には、これまでの診療経験からも、大腸ポリープや大腸がんは無症状の段階で発見されることが多く、自覚症状の有無に頼るのは危険であると言えるでしょう。
そのため、大腸ポリープやがんが生じやすいリスク因子をお持ちの方は、症状がない場合であっても、大腸カメラ検査を受けることをお勧めします(なお、無症状の場合は自費診療となります)。
病状が進行すると、大腸の閉塞による急な腹痛や嘔吐、お腹の張りといった症状が現れたり、貧血や体重減少が見られたりすることがあります。ただし、進行がんであっても無症状のまま見つかるケースもあるため、早期の検査が重要です。
大腸ポリープや大腸がんの検査・診断方法
大腸ポリープや大腸がんの検査において、最も有効かつ推奨されるのが大腸カメラ検査です。この検査では、大腸内の粘膜の状態を直接観察でき、わずかな色の変化や凹凸からポリープを正確に見つけることが可能です。
当院では、細部まで丁寧に観察することを重視しており、微小なポリープも見逃さないよう努めております。発見された場合には、その場で内視鏡による切除手術を行い、早期治療に直結させています。
大腸カメラは診断と治療を同時に実現できる唯一の検査
大腸ポリープの発見と同時に治療まで行える検査は、大腸カメラ検査だけです。他にも、CTコロノグラフィーやカプセル内視鏡、注腸造影検査といった選択肢はありますが、これらにはいくつかの重要な制限があります。
例えば、小さな病変や平坦な病変は見落とされるリスクがあり、正確な診断がその場で下せないケースもあります。また、検査中に病変を発見しても、その場で切除などの治療を行うことはできません。
一方、血液検査によって調べる腫瘍マーカーは、進行がんでは数値が上昇することもありますが、正常値に留まる場合も多く、早期のポリープやがんの発見には適していません。腫瘍マーカーは通常、治療後の再発の兆候を確認する際に用いられます。
大腸がんの早期発見と早期治療の重要性
日本における大腸がんによる死亡者数は、肺がんに次いで2番目に多く、特に女性では大腸がんががん死因の中で最も多いとされています。
40歳を過ぎると発症リスクが上昇しますが、初期の大腸がんや大腸ポリープは多くの場合で自覚症状がないため、注意が必要です。
大腸ポリープは、数年かけて徐々にがんへと進行する特徴があるため、早期に発見できれば、大腸カメラによる内視鏡切除での治療が可能です。
逆に、発見が遅れて進行がんとなると、治療が困難になるばかりか、命に関わる事態に至ることもあります。
日本では、便潜血検査で陽性となっても、その後の精密検査である大腸カメラを受けない方が多いという傾向があります。背景には、「痔が原因だと思うので心配していない」「検査がつらそうで不安だ」といった理由がよく見られます。
しかし、痔と診断される一方で、大腸ポリープや大腸がんが同時に存在していたケースも多く報告されています。自己判断で検査を避けることは、発見の機会を逃すことに繋がりかねません。
>当院では、検査に対する不安や負担をできる限り軽減できるよう、鎮静剤を使用した苦痛の少ない大腸カメラ検査を行っております。
便潜血検査が陽性であっても、大腸カメラの結果に異常がない場合もあります。
しかし、「がんではない」と確認することも非常に大切です。大腸がんの早期発見・早期治療のチャンスを逃さないためにも、陽性結果が出た方には大腸カメラ検査の受診をお勧めいたします。

